セミナー教材開発の基本
- tsunemichiaoki
- 2024年12月9日
- 読了時間: 9分

本日もセミナービジネス研究所の記事をご覧いただきありがとうございます。あらゆる経営者の方が事業を発展させていく上で、セミナー展開の価値、メリットを感じていただくために、セミナー展開で御社の事業あるいは経営者であるあなた自身のアピールをしていただきたいと考えております。
そのために、セミナー展開をどのように行っていけばよいか、という基本をお伝えするため、そしてご参考になるのでは、という記事を書き連ねております。
前回は、セミナー開発の基本から一歩踏み込んでカリキュラム開発の基本として、時間数、講義と演習、そして休憩時間という点をお伝えしました。これでセミナーの大枠が出来上がりますので、今回はより詳細部分に入っていきます。
それでは今回の本文をどうぞ。
第1章 講義用教材開発の基本1
セミナーであれば講義の時間は必須です。
そして誰もが思うのは講義のときにはテキストがある、ということではないでしょうか。
学校教育の場では教科書、ということになりますが、大人の教育の場では資料と言ったり、レジュメと言ったりもしますが、私の中ではテキスト、それも講義用テキスト、という言葉が一番しっくりきます。
そしてこちらがより大事なことになりますが、
そのテキストの作りをどのようにするか、というのはセミナー主催者、講師にとってはとても重要な、そして大きなテーマです。
スライドを投影するセミナーが定着したことで、このテキストづくりはあえて厳しい言い方をすれば手抜きができるようになりました。
昔の黒板、あるいはホワイトボードに板書をして講義を進める、というスタイルであれば、スライド資料のハードコピーを渡してテキストとする、ということは考えられませんでした。
ですが、今であればそのスタイルでのテキスト作成及び配布、というセミナーが大半を占めると言っても過言ではないでしょう。
大人数の参加者を集めて行う講演会のようなセミナーであれば、場合によっては投影資料のハードコピー配布もないケースもあります。
講演会であればもちろんそれでも問題ありません。
ここにセミナー主催者、講師の思いが反映されることになります。
秘匿性の高いものであれば紙資料の配布は出来ない、ということも背景にある場合があります。
それを踏まえたうえで、あなたが開催するセミナーではテキスト作成及び配布の判断を、何を考慮して決めるか。自分で考え、決めていく必要があります。
そして、可能であればスライド資料のハードコピーではなく、しっかりと文字情報が入っているテキスト文書を配布することも選択肢において検討を進めることをお勧めします。
なぜか。
それは、文字情報の詰まったテキストであれば、その場での活用だけでなく、事後の復習に用いてもらえることに繋がるからです。
多くの人が多忙な日々を過ごす中、セミナー後にその資料を用いて復習ということにはなかなかならないのが現実でしょう。
私自身、自己負担で参加したセミナーであっても、事後にその時にもらった資料を用いて復習をする、という経験は残念ながら多いとは言えません。
とは言え、だからといってセミナー会社側は楽なスライドのハードコピーで済ませて良い、ということには直結しません。
スライドはまず間違いなくセミナー開催時には作成するでしょうから、そのハードコピー配布ということであればテキスト作成の手間は大幅に軽減されます。
ここでどちらの道を取るべきか、ということを決めつけることはしません。
それぞれ一長一短があるからです。
最終的には、セミナー主催者側の経営判断、講師として思いによる選択、ということが決定打となり、スタイルを決めていくことになります。
第2章 講義用教材開発の基本2
第1章では教材の外形的な部分についての説明になりました。
第2章では内容に入っていきます。
内容については、カリキュラムと密接に関わってきます。
何を伝えるのか、伝えたいのか。
その骨子が教材の章立てに結びついてくることになります。
AとBとCのことを伝えたい、というセミナーであれば
第1章はAについて、第2章はBについて、第3章でCについて、という形で作っていくことが基本です。
ただし、A、B、Cの順番は意識する必要があります。
理想のスタイルは、徐々に理解を深めていく内容にするということです。
学校の授業のように、1時間目算数、2時間目国語、3時間目体育、というつながり、脈絡が感じられないものでは残念ながらNGです。
セミナーの達成目標をしっかり設定し、その目標達成の道筋の過程で、A地点クリア、B地点クリア、C地点クリアで最終目標到達、という形でのカリキュラム設定及びそれに合わせた教材作成ということをしていく必要があります。
序盤は基礎知識。中盤はその展開例。最後終盤はそれを自分のものとするためのコツ、というような伝え方をイメージしていただくとご理解深まりますでしょうか。
ここではA、B、Cとホップ・ステップ・ジャンプを意識した説明をしましたが、起承転結という4部構成の教材作成ということももちろん有用な考え方です。
そして先程は章立て、という観点でお伝えしましたが、各章の中を更に細分化した小項目の設定も必要です。
そこでもホップ・ステップ・ジャンプを意識するか、起承転結を意識するか、あるいはそれをせずに並列で知識を深めてもらうか。
このあたりもいろいろなやり方があります。
その部分が一つ一つのセミナーにおける個性にもつながっていきます。
こうあるべきだ、という捉え方ではなく、どれが一番フィットするかな、というスタンスで検討し、教材作成につなげていってください。
一つだけスライド資料作成時のポイントをお伝えします。
それは、文字情報を詰め込みすぎない、ということです。
いかにポイントを整理して、わかりやすい箇条書きのようなスタイルを取ることができるか。
スライドは読み上げるためのものではなく、講師が話を展開していく呼び水です。
そこを間違えると、無味乾燥なセミナーになってしまうリスクが増しますのでご注意ください。
そして講師による補足が膨大になるのであれば、それはスライド以外に、文字情報を入れ込んだしっかりとしたテキストを作るべきセミナーということになります。
第3章 演習用教材開発の基本1
講義用教材開発については理解を深めていただいたと思います。
もう一つ考えなければならないのが演習教材についてです。
まず押さえるべきことは、演習は何のために行うか、という点です。
定着度確認、総括、場の統制、などの要因が挙げられます。
演習時間をどのように設定するかによっても何のために、という部分は変わりますので、これもカリキュラム設定時の考え次第、ということではあります。
しかし基本線は、その直前まで講義で伝えていたことの理解の深堀り、知識の定着、頭の活性化、ということを踏まえた演習用教材の開発、ということになります。
最も簡単な演習教材であれば、クイズ形式で、この文章(内容)は◯か×か、を答えてもらう、というものでしょう。
これであれば演習時間5分という設定もありですから、1時間というようなショートセミナーでも入れ込むことが出来ます。
そうではなく、しっかりとした演習を設定して、広義では伝えきれない深い部分まで理解をしてほしい、という場合は、事例検討(いわゆるケーススタディ)という演習であったり、ロールプレイ(模擬的に何かを演じてもらう)を入れ込むということも大事なアプローチです。そうなると演習の時間は1時間あるいはそれ以上、というケースもでてきます。
事例検討を入れ込む場合、現実のケースを用いて演習を行うのか、架空の事例を制作して、その上でそれを題材に取り組んでもらうのか。
もちろんどちらでも高い学習効果が期待できますが、準備は簡単ではなくなってきます。
最終的なアウトプットをイメージして、受講者に何を演習から導き出してほしい、理解してほしい、という要素を明確化して、それを演習に盛り込んでいく、ということになります。
第4章 演習用教材開発の基本2
あえてこの章の表題は演習用教材(の続き)としました。
ですが人によってはそれは演習教材とは別物では、と思われるかもしれません。
さて、ここでお伝えしたいものは何か。
必ずセミナーで設けなければならないものではありません。
とは言え、実施するかしないかは必ず検討すべきもの、として捉えていただきたいものです。
それは何か、というと、
テスト
です。
テストと言う名称にするかどうかも判断が必要です。
柔らかい表現にするのであれば、理解度確認、ということでしょう。
さらに、そのテストを、単なるアクセント、眠気覚ましのレベル設定とするのか、厳しい合格基準として設定するのか、というのも分かれ道です。
そしてその選択肢も二者択一というものではなく、色々な考え方があります。
しかしいずれにせよ、この時間があることで、講師をする側も受講する側もあるレベル以上の緊張感を持つことができることは紛れもない事実です。
受講した側にとっても、自分が理解できたかどうかを自己確認するうえでも、ある一定時間以上のセミナーで特に何かの知識を学ぶというセミナーであれば、入れ込むことをお勧めします。
10分でできる理解度確認クイズのレベルでも十分です。
第5章 アンケート開発の基本
最後に、お伝えしたいのは本編終了後、どちらかと言えば、講師側、セミナー主催者側の思いで取り入れたいもの、そうです。アンケート調査になります。
1回限りで2度と開催しない、というものであればアンケートを取る必要はないかもしれません。ですが、セミナー主催者からすれば全く同じものは開催しないまでも何かしらの次なる展開を考えるうえでの材料集めという意味合いも含めて、お客様の声は常に求めたいものです。
今の日本におけるセミナー展開状況からすれば、最後にアンケートを求められる、というのは当たり前のことになっていますので、殆どの方は抵抗感なく協力してくださるありがたい状況が生まれています。
しかし、セミナー主催者、そして講師の側からすれば、わざわざ貴重な時間を使ってアンケートにご協力いただく、という意味で、心からのお礼、感謝の気持を示すことができるかどうかは大事な視点です。
アンケートよろしく、という感じで講師から投げられると、それだけでそこまで満足していたとしても、何だ偉そうに、ということでアンケート評価が下がることにもつながるでしょう。
お急ぎかもしれませんが、少しだけお時間ください。どうぞよろしくお願いいたします。というスタンスでアンケートをお願いすることがまずは基本です。
長くなりました。
アンケート開発についてはまた回を改めてお伝えしたいと思います。
以上、セミナー開発の基本として押さえておくと良いポイントでした。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
(了)
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