メルマガ週末版(書籍「小説 上杉鷹山」のご紹介)<メルマガ#012>
- tsunemichiaoki
- 2024年7月8日
- 読了時間: 5分
こんにちは。セミナービジネス研究所です。メールマガジンのご購読、誠にありがとうございます。
梅雨真っ最中で沖縄を除く全国でジメジメの日々かと思いますが、今号は金曜日不定期発行の週末版です。
5/10に週末版を初めて発行いたしましたので、週末版としてようやく2号目。
今号も本のご紹介をさせていただきます。
今日ご紹介する本は、私にとってリーダーシップとは何かということを考える、そして体現していく過程で、大いに力を授けてくれた本です。
本とは言っても難しいビジネス書ではなく、小説です。
そうなんです、私の場合は、小説であくまで架空の物語でありながら、そこから学ぶことが数多くあります。小説だからこそ理想の姿を書き表すことができる。そしてそこからの学びを元に、自らのスタイルと模索する、ということが性に合っていたのかもしれません。
さて、ご紹介する本はこちら。
この本もだいぶ前に発行された本です。
主人公は「上杉鷹山」。
J.F.ケネディ大統領が就任時のインタビューで尊敬する日本人は?と聞かれ、上杉鷹山の名前を挙げたものの、その場にいあわせた日本人記者の間で、それは誰だ?ということで驚きが広がったという逸話が残っている人です。
なぜケネディ大統領が知ることになったかと言うと、内村鑑三の名著「代表的日本人」の中に、西郷隆盛らとともに上杉鷹山のことが記載され、それを読んだケネディ大統領が感銘を受けたことで上記のやり取りになった、ということを多くの方がネット上でも記事にしています。おそらくお聞きになったことがある方が大勢おられることでしょう。
ですが、私の場合は残念ながらケネディ大統領のような感性は持ち合わせておらず、内村鑑三の「代表的日本人」を読んでも、それほど深い印象は残りませんでした。
ですが、この本は違いました。
かなりの量がある小説ですが、さすがに一晩でとは行きませんでしたが、たしか数日で読破。かつ涙を流しながら読んだ記憶があります。
そして一番自分に残った思いは、トップになると、ここまで我慢し、耐え忍ばなければならないことが起きるのか。
その人間の器とは。
というものでした。
舞台は江戸時代。
上杉、という名からお感じの方もおられるでしょうが、上杉謙信の流れをくむ名門の大名でありながら、時代を経ることによって、小藩の大名に成り果ててしまった東北の米沢藩。養子の立場で、上杉鷹山が藩主に着いた際には悪化する財政に、もう手のつけようがないほどの状況。
養子の立場であったことから、藩の経営の担ってきた重役からは信頼されず、かつ阻害もされる事態も発生。さらに多くの藩士は日和見で、藩の運営に問題があっても見て見ぬふり。
決して現代経営とは無縁の昔話、と片付けられない状況がその小説の中では描き出されています。
小説とはいえ、登場人物はほとんどが実在した人々。話の内容もまるでそれが真実をベースしたドキュメンタリーのような感覚にも襲われます。
この本以外に、リーダーシップを学ぶ上で他の小説も大変ありがたい存在だった中で、私の場合もう一冊お勧めたいものがあります。そちらは2度の通読でとどまっていますが、この上杉鷹山は記憶の限りでは少なくとも通読3度。毎回涙があふれてくる素晴らしいものです。
さて、前置きが長くてすみません。
その本が何かというと、こちらです。
童門冬二著 「小説 上杉鷹山」
1983年刊の大変古い本で、単行本は絶版です。文庫本であればまだ購入できるようですが、
今は完全版、というものが出ています。
この近刊は600ページもの大著でお値段も高いので、おいそれとはお勧めできませんが、中古や図書館で借りた本では嫌という方は手に取ってみるとよいかもしれません。
この著者以外の上杉鷹山関連の本は、この本に触発され何冊も読みました。
ですが、この本を超える、いえ、超えるどころか近づく本すら私は出会うことができませんでした。
リーダーとはかくも耐えなければならないものなのか。
この小説・上杉鷹山から得たインパクトはそれほどまでに大きなものがありました。
なんで・・・
ここまで来ても・・・
という場面が幾度となく出てきます。
そこを乗り越える胆力が備わっていく若き藩主。
しかし、物語はそう簡単にハッピーエンドでは終わってくれません。
栄枯盛衰はどの時代でも避けられるものではありませんし、人が変われば、ということはどうしても起きてしまいます。
上杉鷹山亡き後も、米沢藩が隆盛を極めた、という話には私自身は未だ行き当たっていません。お取り潰しにはなっていないので、何とかやれていたはず。ですが、そこまで史実を追いかけようとは思いませんのでその点はご容赦ください。それを見極めるよりもはるかに、この上杉鷹山という人が成し遂げたことを学び取り、自らに活かしていくことの方がはるかに大事と私は考えているからです。
自分自身も経営者の立場で、苦境に陥った会社に向き合う、という経験を持ちました。
その際に、どのようなリーダーシップを発揮すべきか。
もちろん自分の器、というものはありますから、ありとあらゆる方策の中から最善手を選び出す、などという芸当はできません。
しかし、つらいことに直面した際に、上杉鷹山が耐え忍んだレベルはこんなものとはけた違いだったはず、と思ったことは何度あったことか。
多くの経営者にとってはなくてはならない本、と私は今でも思っています。
もちろん、経営者ではない方であっても、リーダーとは、リーダーシップとは何か、ということを感じ取りたい、という方であれば、ぜひぜひお読みいただきたいのです。
決して後悔しないはずです。
2回目の週末版、おつきあいいただきありがとうございました。本日はここまでです。
また次回の週末版、来月になりますが楽しみにお待ちいただければ嬉しい限りです。
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