講師に向かって再び事務局暴言??
- tsunemichiaoki
- 2024年7月18日
- 読了時間: 8分

本日もセミナービジネス研究所の記事をご覧いただきありがとうございます。あらゆる経営者の方が事業を発展させていく上で、セミナー展開の価値、メリットを感じていただくために、セミナー展開で御社の事業あるいは経営者であるあなた自身のアピールをしていただきたいと考えております。
そのために、セミナー展開をどのように行っていけばよいか、という基本をお伝えするため、そしてご参考になるのでは、という記事を書き連ねております。
前回は、「受講生」という言葉に潜む大きな問題、危険性についてお伝えしました。
今回は、そこから離れて、以前(メルマガ#010)でお話した事務局担当者が講師に向かって言ってしまった、あり得ない暴言についての余話をお話したいと思います。
前回のテーマに入っていったきっかけは、セミナー中、講師はずっと立ってセミナー運営をすべき、ということがきっかけであったのですが、今回は、その立ったまま、というところに焦点を当てていきます。
それでは今回の本文をどうぞ。
繰り返しですが、私が育ったセミナー会社では、厳しいことに講師に関してあるルールが有りました。そのルールは、
「講師は、セミナー対応中は立ったままで業務を行うこと」
であることはお伝えした通りです。
ですがこれは、言うは易し、です。
ところがそれをよくわかっていない青二才事務局は、会場内の後ろから状況確認で室内に入り、講師の状況を見ている中で、発言内容は問題ないと判断しても、その立ち振る舞いにまで目を光らせてしまう時がありました。
おそらく、一般のセミナー会社ではほとんどそのようなことまで注意しないのではないか、というのが長年の私の感覚です。
講師と事務局の力関係がはっきりしているからです。
そして、たいていの場合、事務局は単なる運営係、という位置づけです。そしてお客さん側も、事務局担当者を主催者側の責任者とは全く思っていないケースがほとんどです。
こうなると、実は味もそっけもないセミナーとなり、すべてが講師パフォーマンス次第ということになります。
事務局側としてはその方が楽だからということでもあるのですが。
ですが、残念ながらそれでは本当の意味での一体感は生まれません。
つまりセミナー主催会社とお客さんの関係はなかなか深まりません。
もちろんそのセミナーが何かしらのコンテンツ販売につなげるための導線設計がしっかりとされていればそれなりの販売実績は上がるでしょう。
とにかく物が売れればよい、というスタンスであれば私がとやかく申し上げることはありません。
ですが、おそらくこの記事をわざわざ見に来ていただける、ということはもっと違ったものをお求めなのではないでしょうか。
そうなのです。
違う道はあります。
事務局担当者がいかに、セミナー会社の代表というつもりで対応できるかによって、そのセミナー及びセミナー会社への信頼度は変わります。
ぜひそれを覚えておいていただきたいのです。
これは短時間のセミナーでは正直なかなか難しいですが、複数日にまたがるセミナーであれば、講師とは違った形での事務局担当者とお客様の関係性が構築できる機会がふんだんにあります。それを活かす気持ちがあるかどうかが第一の分かれ目。
その上で、お客様の立場に立った対応ができるかどうかが第二の分かれ目。
そこをうまく対処していくと、お客様満足は格段に上がります。
つい先だっても、およそ20年位前に、私がその事務局担当をしていたころのお客様にお会い機会がありました。
大変失礼ながら私の方はその方のことを全く覚えていない状況でしたが、その方は、私のその時の発言をしっかり覚えていてくださり、改めてその時のお礼をおっしゃってくださりました。
再会の場面は、その方が、受けられたセミナーから資格を取得され、その道で活躍し実績を積まれ、今度はその方が先生、私が生徒、という立場でのものでした。
それでも、わざわざ講義が終了して他の受講者の方が帰られた後に、私の所にお越しになってしてくださった昔話だったのです。
事務局業務を真剣にやっていてよかったと思える場面でした。
今回もタイトルの話からだいぶ脱線した遠回りな話になっており恐縮です。思いを持って仕事をしていたことが良い方向に作用すれば上述のようなことになりますが、逆に行くとどうなるか、というお話です。
さて、本来の話に戻り、その会場で事務局担当として見た光景はどのようなものであったか、というと、
講師の方が演題の端に両手をつき、前のめりになって話をしているというシーンでした。
立って講義をしているには違いありません。写真がないのでわかりにくいかもしれませんが、大きめの演台に両手を広げて、どんと体が倒れるのを防ぐつっかえ棒のようにしているシーンを想像していただけると有難いです。
残念ながら、そのシーンは教えてあげている、という感じがどうしても出てしまうのです。
言葉悪く言えば、どうだい、君たち分かっているかい! という感じです。
その講師の方の語り口は非常にマイルドでわかりやすい話し方ができる方だったので、偉そうな講師と思う受講者は皆無だったとは思っています。
ですが、理想を追求したい青二才事務局は、その場面はあとでフィードバックをしなければというリストに入れ込まないわけには行きませんでした。
さあ、そして講義が終わった夜、講師に対してのフィードバックタイムです。
遠慮なく講師に申し上げてしまいました。
その場面、やはりよろしくないので、お願いします、とはっきりと。
講師の方は、今思えばあり得ないくらいの大人の対応をしてくださいました。
「そうか、それはすまんな~」
「だけど、なかなか立ちっぱなしで講義をするのも大変なんだよ・・・」
分かってほしい、という声なき声ですが、青二才事務局は、黙殺でした。
高い講師手当を払っているのだから、それくらいは対応してください、という気持ちでした。
青二才事務局は、30代、その講師の方は60代。
社会的な地位、実績、どちらも圧倒的に講師の方のほうが上であるにもかかわらず。
お客様満足を追求するには、その部分であっても手を緩めてはいけない、という凝り固まった思考から抜け出せない青二才でした。
その時は、その人格者講師の方は、君の言いたいことは分かった。努力するよ。
という許容の態度でその場を収めてくださいました。
当時の青二才くんには、年齢を重ねることによって生じる体のがたつき、ということへの理解が大きく欠落していました。
体育会あがりの頭を使うより体を使うことの方が大事という世界にいたこともあって、余計に拍車をかけていたのかもしれません。
そしてそれから10年以上の月日を経て、ようやくその青二才くんもその講師の言っていた言葉の意味が理解できるときが来たのでした。
どうして理解できたか。
簡単です。
自分が講師をするようになったからです。
えっ、そんな簡単なこと、と思われたことでしょう。
はい、そうなんです。
だから青二才くんなんですね。
自分が講師をするようになった時、その青二才くんも加齢による体のがたつきで、現役時代に痛めた膝の古傷が悪化し、ジョギングをするだけでも膝に水が溜まるような状態になっており、立ち仕事も実は辛さを感じるようになっていました。
歩き回るより同じ場所にずっと立っている、というのは膝にとってはかなりのダメージなのです。
そのような体になってみると、30分立ちっぱなしで講義を続けるとやはり疲労感を覚えます。
その時、どんな体勢を取ったかというと、
片足を上げて、もう片方の足だけで立つことを繰り返すとか、
演台に手をついて重心を手の方にかける、
というようなことをするようになったのです。
あっ!
おわかりでしょう。
青二才くんが人格者講師に発した言葉の意味と、人格者講師の返答の意味が。
講師を始めるようになった当時の青二才くんは、40代にはなっていました。でもまだ40代です。
それでも演台に手をついていたのです。
60代の講師がどうしてそのような態度をとったのか。
精一杯の努力の中で、体の負担をかけずに丸々1日の講師業務のパフォーマンス維持のために取っている仕草であった、ということがようやく理解できるようになった時だったのです。
多少なりともその状態に思いを馳せることができれば、あのような言動は少なくとも取らなかったはず。
ここまでお読みのあなたには、あの青二才くんを必ず反面教師にして欲しいのです。
そして講師を務める際のこの問題の回避策はただ一つ。
それは何かと言えば、
セミナールーム内を機会あるごとに歩き回ることです。
講師は演台のうしろから高飛車な態度で講義をすればよい、というものではありません。
テキストを持ってどんどん室内を歩き回るのです。
それによって、受講者の方にも良い意味での緊張感が生まれます。
うまくいけば、講師への親近感もわきます。
スライドを使うセミナーで、スライドを動かす必要がある場合は、無線で操作ができる器具を使えばよいのです。もちろん無線の届く距離に限界はありますから、大きなセミナールームであれば動き回れる距離には限界がありますが、そこはやむなしです。
しかしそれによって、同じ場所に立ち止まっていることでかかる体への負担も減らせます。
毎日講師ばかりしている人であれば、まだ立ち仕事への耐性はできますが、普段、経営者として多くの時間を座って仕事をしている方がいきなり講師業務を、それも1日セミナーで講師をしようとなると、20代の方ならいざしらず、たいていの場合、体は悲鳴を上げます。
どうぞ今回登場の青二才くんがしでかした事態を招かないため、
講師としての立ち振舞いにも気を配っていただきたいな、と思います。
よろしくお願いいたします。
でも最後に。
もしあなたの部下が青二才くんのような言動を取ったら・・・。
それはそれで一度は、その彼、彼女の若気の至りを受け入れてあげてくださいね。
その芽を潰すのではなく、活かすことができてこそ、セミナー事業展開も大きく伸びていきますから。
(了)
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